ザ・パッション
齊藤一也
発売日 2022/10/19
¥3,300(税込)パッケージ版価格
MECO-1075
ブルースペックCD2仕様 1枚

商品紹介

【煌めく超絶技巧が織りなす、濃密な官能とパッション】
パリ国立高等音楽院、及びベルリン芸術大学を最優秀で卒業後、カンピージョス国際ピアノコンクール優勝、マッサローザ国際ピアノコンクールで優勝、アルトゥール・シュナーベルコンクール最高位他、数々の国際コンクールを制覇したピアノ界の貴公子 Kazuya Saito の公式デビューアルバムは、絢爛たるヴィルトゥオジティが煌めくリスト&ラフマニノフ作品集。 タイトルの「ザ・パッション」はそのパッション溢れる超絶技巧と共に、楽曲に付託されたキリスト受難(passion)の意味を併せ持つ。

若き virtuoso の〈天路歴程〉
ピアニスト齊藤一也の、公式デビューアルバムである。2021 年に『une journée ユヌ・ジュルネ』のタイトルで自主制作盤を出しているが、一年余を経た今、「満を持して」という表現がふさわしい、実に聴きごたえのある一枚に仕上がっている。
齊藤がこのために選んだのは、リストとラフマニノフ。作曲家であると同時に、ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしても知られた二人の作品をとり上げるにあたり、齊藤は自分自身の作曲に対する関心を理由の一つにあげている。が、それ以上に、彼らの作品で組まれたプログラムは、齊藤一也というピアニストの卓越した技量と、ゆたかな音楽性を明らかにするのにうってつけと言えるだろう。このアルバムは「優れたピアニストであり作曲家であったリストとラフマニノフへのオマージュ」でもある、と齊藤は語るが、その意味で、若き日本の演奏家から、百年余の時空の隔たりを超えて捧げられるこの盤は、彼の二大アーティストを大いに満足させ得ることだろう。
プログラム構成にも、周到な配慮と意図が巡らされている。各曲間での調性の移り変わりに関する心配りはもとより、このアルバムのタイトルであり、テーマでもある“ThePassion”に込められた様々なイメージやメッセージが、聴き進むうちに明らかになってくるように曲が配置されている。
“passion”には「情熱」のほかに「受難、受苦」という意味もある、と齊藤は言う。今回のアルバムには、大きく二つのイメージが横たわっていて、一つは「過去への旅路(巡礼)」。冒頭の「コレルリの主題による変奏曲」をはじめ、収められた曲の多くに、作曲家自身の人生における過去、そして音楽史/芸術史の線上における過去へと向く眼差しが感じられる。「音楽を通して、過去を〈覗き込む〉」視線の先に展開されるのが、二つ目のイメージ、すなわち様々な情熱や苦しみが織りなすドラマティックな世界。
「けれども、受難を経ての救い、に至るプロセスまでをも表現できたら」。静かに言い添えたこの言葉に、齊藤一也というピアニストのひととなりを垣間見る。聴き手を圧倒する演奏技術を持つこの奏者には、〈我〉を押し出すアクや癖の強さといったものが全く感じられない。どこか学者然とした静謐な佇まいの内には、もちろん良き音楽を創造することへの熱い想いがあるが、その姿勢は、軽挙妄動とは真逆の、己とピアノの両方に極めて誠実であろうとするものだ。
「嘘、偽りなく」という言葉を丁寧に発するピアニストの姿に、英国古典『天路歴程』の主人公をふと思う。浮世の業垢にまみれた「破滅の町」で、「この世から来たるべき世に至る巡礼の旅」を始めた青年クリスティアンは、様々な場面を経て、やがて高い次元の「天都」へと到る。齊藤一也の、音楽の巡礼の旅は始まったばかりだ。鍵盤から音の粒が奔流となって、煌めきながら溢れ出すヴィルトゥオーゾの妙技がさらに深みを増していく、その「天路歴程」を、同時代に生きる者として目の当たりにできる幸運を喜びたい。
山田 良

収録曲

  • ラフマニノフ
  • 1. コレルリの主題による変奏曲 ニ短調 作品42
  • 2. 10の前奏曲 作品23 〜 第4番 ニ長調
  • 3. 「音の絵」 作品33 〜 第5番 ニ短調
  • 4. 「音の絵」 作品33 〜 第7番 変ホ長調
  • 5. 「音の絵」 作品39 〜 第5番 変ホ短調
  • リスト
  • 6. ダンテを読んで -ソナタ風幻想曲-
  • 7. 泉のほとりで
  • 8. ペトラルカのソネット 第104番
  • 9. ハンガリー狂詩曲 第12番 嬰ハ短調
  • 10. 愛の夢 第3番
  • ラフマニノフ
  • 11. パガニーニの主題による狂詩曲 作品43 〜 第18変奏(齊藤一也 編曲)

プロフィール

齊藤一也(ピアノ) Kazuya Saito, Piano
4歳よりヤマハ音楽教室にてピアノと作曲をはじめる。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学卒業後、パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学を最優秀で卒業。
第8回カンピージョス、第7回マッサローザ国際ピアノコンクールで優勝。第4回東京音楽コンクール最高位(第2位)、第82回日本音楽コンクール第2位、三宅賞、岩谷賞(聴衆賞)をはじめ、第66回ロン・ティボー国際コンクールでフォーレの最優秀演奏賞、第61回マリア・カナルス国際音楽コンクール第4位、第18回サンタンデール国際ピアノコンクールファイナリスト賞、第22回アルトゥール・シュナーベルコンクール最高位、副賞のスタインウェイハウス(ベルリン)で行ったリサイタルが評価され 2018年度スタインウェイ賞を受賞する等、数々の国際コンクールで入賞。
ヨーロッパ各地の音楽祭でリサイタルを行うほか、これまでに沼尻竜典、梅田俊明、広上淳一、曽我大介、高関健、OvidiuBalan、DidierBenetti、Pablo González の各氏の指揮のもと、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、藝大フィルハーモニー、フランス国立管弦楽団、スペイン放送交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団等と共演し、いずれも好評を博す。
これまでに石丸八重子、青木進、山下葉子、秦はるひ、Michel Dalberto、Björn Lehmann の各氏に師事。
現在(一財)地域創造による公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)支援アーティストとして、全国でアウトリーチ活動やリサイタルを行っている。
公式 HP: www.kazuyasaito-pianist.com
(2022 年 9 月現在)