その多くが無調であったり、正直なところ難解であったりする現代音楽の作曲家の中で、素直で美しい旋律、彼にしか成し得ない洒落た和声、そしてロマンと情熱に溢れた香月修の作品は「異色」であるのかもしれない。しかしこれほど心の琴線に触れ、純粋に感動をおぼえる作品は、現代においてどれほど「貴重」なものであろうか。
2025 年に喜寿を迎えた香月修が、自らの過去を辿り、これまでの人生で経験した様々な情景を走馬灯のように蘇らせ、哀しみや苦悩、後悔、胸の内に秘められていたもの、一瞬の幸せ、穏やかなようで強くて深い愛...を「ヴァイオリンとピアノのためのエレジー」「ヴィオラとピアノのための追憶の光と影」という姉妹作品で独白している。この二つの作品は、高校時代からの教え子である神谷未夏の還暦祝いに捧げられ、その妹である神谷未穂、室内楽パートナーとして深い信頼を得ている小山香織によって熱演された。
アルバム「mimosa」には、その花言葉である「出逢いに感謝、友情、思いやり、エレガンス、真実の愛」のとおり、このアルバムに携わったすべての人々の絆が現されている。
香月 修 Osamu Katsuki (1948~)
1 ヴァイオリンとピアノのための哀歌
Elegy for Violin and Piano
ヴィオラとピアノのための追憶の光と影
Memories of light and darkness for Viola and Piano
2 第1曲アンダンテ
I. Andante
3 第2曲 アレグレット・グラツィオーソ
II. Allegretto grazioso
神谷未穂(ヴァイオリン) MihoKamiya,Violin
神谷タンナー未夏(ヴィオラ) MikaKamiyaTanner,Viola
小山香織(ピアノ) KaoriKoyama,Piano
表紙絵:マティアス・タンナー MathiasTanner